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誰もが生まれてきてよかったと思える世界を、社会課題を解決する企業への出資で実現する【第3回オンライン・サロン開催報告】

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ゲストスピーカー:
株式会社taliki /代表取締役CEO 中村多伽氏
モデレーター:
SIIF 新しいフィランソロピー事業チーム/フィランソロピー・アドバイザー 小柴優子

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中村氏が代表を務める株式会社taliki(以下taliki)は、社会起業家の支援に特化したインキュベーションプログラム(事業立ち上げ支援)、投資ファンドを設立、運営。財務リターンだけでなく、社会的リターンを目的にかかげ、持続的な成長を目指す企業を支援している。同社が運営する1号ファンドからは累計12社へ投資を終え、インキュベーションプログラムからは200名以上の卒業生を輩出。
「誰もが生まれてきてよかったと思う世界」に向けて、2号ファンドの設立およびより多くの社会起業家の育成に向けてまい進している。

会社名 :株式会社taliki / taliki, Inc.
設立  :2017年11月29日
代表者 :代表取締役 中村多伽
所在地 :京都市中京区高倉通錦小路上る貝屋町565-1
URL  :https://www.taliki.co.jp/

事業内容:
・インキュベーション事業
・オープンイノベーション事業
・投資事業
・メディア事業

イベント記録

I. 「社会課題解決」×「投資」の現状分析

冒頭、SIIFの小柴より「社会課題解決」「投資」というテーマについて現状分析を話しました。

社会問題に対する官民の取り組みと課題について

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社会課題に対する取り組みは、行政、非営利団体、営利団体が担っています。上記のグラフは、取り組みの公共性、市場性(事業性)の観点から各プレイヤーを位置付けたものです。

行政は公共性の高い領域で支援ができますが、課題もあります。例えば、支援が必要な人に対する能動的なサポートが難しいことや、税金を活用するため課題が顕在化し世論が得られないと制度化しにくいことがあげられます。

行政以外にも非営利団体(NPO等)や営利団体(社会的企業)が社会課題の解決に取り組んでいます。ここでいう社会的企業とは、社会問題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体をさします。これまで収益性の観点から営利企業が社会課題解決に取り組むことが多くありませんでしたが、近年では営利企業の参入も見られています。

近年注目されるコレクティブインパクトという手法

社会課題に対する新たな取り組みとして、行政、企業、NPOなど複数のプレイヤーが協働しインパクトを最大化する「コレクティブインパクト」と呼ばれる手法も注目されています。こども宅食(東京都文京区)やスタディクーポン(東京都渋谷区)が事例として挙げられます。

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社会課題に対するお金の流れは投資から寄付までさまざま

社会問題に対する資金の流れは、投資か寄付かという二極化したものではなく、財務リターン、社会的リターンを指標にグラデーションになっています。財務リターンを目的とした従来の投資だけでなく、ESG投資、インパクト投資という社会的リターンを重視する投資手法も近年注目されています。

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ESG投資とインパクト投資が似ている点は、どちらもサステナビリティ、レスポンシビリティを重視し、財務リターンとの両立を目指すところです。一方で両者の違いは、特にインパクト投資においてインパクト創出にかかる明確な意図をもって投資する点です。

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最後に日本の寄付額を見ていきます。
対GDP比では0.14%、7,756億円しかなく、寄付大国のアメリカが1.44%、30兆円6,664円と比較すると非常に少ないことが分かります。

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II. taliki が取り組む社会課題と社会起業家支援について

つづいてtaliki 中村氏より、現在取り組んでいる社会課題と社会起業家支援事業について話がありました。

代表中村氏が取り組む社会課題とは?

原体験は、学生時代にカンボジアで小学校建設に取り組んだことでした。日本で集めた寄付を原資にカンボジアの教育庁と連携し、強制移住者が住んでいる何もない村に公立小学校を建設しました。住民から「建ててくれてありがとう」という声をもらったことが、自分自身の行動が世界のどこかで困っている人の力になれることを実感し、社会課題解決をなりわいとして生きていこうと考えたきっかけです。

一方で、小学校建設だけでは貧困や教育格差といった課題を解消するには不十分でした。カンボジアでは、子どもも労働力なので勉学の時間が取れなかったり、教師の給料が低く兼業が必要なこともありました。また、学校建設の活動を持続的にするには何倍もの資金が必要であり、社会課題の解決にはより大きな構造的な仕組みを変える必要があることを学びました。

そこで大きな組織で世の中の仕組みを学びたいと考え、NYのビジネススクールへ留学し、週の半分は報道局で働きました。世界中のニュースを扱う報道局で働くと、この瞬間にいろんな場所で命の危険や事件が起きており、それらを解決できるのは一人一人の行動ではないかと考えたのです。

そこで、自分自身が世界の一つ一つの課題にアプローチするのは難しいけれど、社会課題に取り組む人たちを応援して、増やすことで自分は貢献したいと考え taliki を設立しました。

taliki が取り組む社会起業家支援とは?

talikiでは「命を落とす人、死ぬより辛い人の絶対数を減らす仕組みを作る」ことをビジョンにかかげ、「社会課題を解決する人をエンパワーする」ことをミッションにしています。社会課題解決型ビジネスを支援することで、社会課題がいつでも解決される社会構造を目指しています。

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具体的にはプレシード期(創業、構想段階)からシリーズA-B(事業価値が明確化され収益が出始めている段階)の社会起業家向けに3本柱で事業を展開しています。
・社会起業家育成プログラム
・社会課題解決のオープンイノベーション/投資
・オウンドメディア事業

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■社会起業家育成プログラム
社会起業家になりたい人向けに、数か月にわたるプログラムを通じて、ビジネスプランの設計から事業立ち上げ、事業拡大に至るまでを徹底的に支援するものです。talikiはこれまで10以上のプログラムを行い、200名以上の事業立ち上げ・拡大を支援しました。

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■社会課題解決のオープンイノベーション/投資
社会課題の解決に取り組む企業に対して、出資や投資先へのハンズオン支援を行います。また投資先に対し、大企業との連携、組織開発のサポート、広報支援を含むハンズイフでのサポートを行います。

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■オウンドメディア事業
社会課題を解決する起業家のwebメディア「taliki.org」を運営しています。社会起業家やプロダクトを取材し、新しいライフスタイルを社会に提案するとともに、彼らの販路拡大支援やビジネスマッチング支援を行います。

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1号ファンドでは、累計12社に投資し、投資先の時価総額、ユーザー数や売上成長率ともに右肩上がりで推移しています。当社のファンドでは、財務的リターンだけでなく、社会課題の解決ができているかも指標にかかげています。

投資先の事例として、ビーガン向けのマーケットプレース、レシピサイトを運用する(株)ブイクックがあります。インキュベーションプログラムにて事業アイディアの立ち上げ時から支援し、創業後は初めての外部株主として投資しました。

2023年には2号ファンドを計画しています。運用規模を拡大するとともにガバナンスを強化し、より多くの課題解決に取り組む起業家を支援する基盤をつくっていきます。

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また、当社の資金提供の方法として、2種類の投資スキームを用意しています。従来の株式投資契約のほかに、プロフィットシェア契約が選択できるので、起業家は社会課題解決に専念した事業を行うことができます。

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III. taliki 中村氏 × SIIF 小柴による対談セッション

ここでは、talikiファンドの投資方針や社会起業家に向けた支援方法について話し合いが行われました。
画面左)taliki 中村氏 画面右)SIIF 小柴

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SIIF小柴:
taliki ファンドの投資方針について教えてください。社会的ビジネスは幅広くあると思いますが、taliki が対象とする事業はどのようなものでしょうか?

taliki中村:
taliki の定義として「全体最適のゆがみ」に対してアプローチする事業を対象としています。市場原理の観点から見過ごされてしまうけれど、困っている人、苦しんでいる誰かのために挑戦する事業や起業家を応援しています。

SIIF小柴:
これまでのプログラムや投資活動の経験から、社会起業家が成功するためのハードルは何か感じましたか?

taliki中村:
一言でいうと情報格差ですね。社会起業家のビジネスは、目指す姿やそのために必要な手段が各社さまざまです。ベンチャーキャピタルから資金調達をして急成長を目指すパターンもあれば、銀行融資を受けスモールビジネスで成長する方が望ましい場合もあります。

どのような形がいいかは経験者の生の声が大事なので、talikiではオウンドメディア(自社メディア媒体)を作り、必要な情報を届ける工夫をしています。

一方で、社会ビジネス=もうからないという理由で、投資家や金融機関から門前払いされなくなってきたのは良い風潮だなと感じています。

SIIF小柴:
社会全体で社会起業家に対する風潮が変わってきているんですね。では、社会起業家にとって必要な支援とは何でしょうか?

taliki中村:
全ての事業に共通して資金は必要です。世の中の風向きが変わってきたとはいえ、シード期、アーリー期の企業は事業性が見えづらく金融機関や投資家からお金を集めにくいものです。さらに、社会起業家となると事業成長の確度も読みづらく困難なことが現状です。

SIIF小柴:
話にあがった「事業性」という点についてお聞きします。社会起業家は上場やM&Aを目指さない場合もあると聞きました。どのような背景なのでしょうか?

taliki中村:
社会起業家は、社会課題の解決と事業性の両立を目指しています。例えば、マネタイズが難しい事業領域に取り組む企業が、無理に上場やM&Aをゴールにおくことで利益を追求してしまうと、本来の目的だった社会課題の解決が達成できない場合があります。

talikiが一般的な投資の他に、プロフィットシェア契約というスキームも取り入れているのも、そのような背景からです。無理に上場やM&Aのプレッシャーを感じることなく事業に専念し、得られた利益は応援してくれた人に分配するやり方です。

SIIF小柴:
社会起業家のニーズに合わせた資金提供の手法を確立しているんですね。では、最後に社会起業家を支援したい個人、法人に向けてメッセージをお願いします。

taliki中村:
taliki が計画している2号ファンドでは運用額も拡大し、より多くの社会起業家を支援できる体制を構築する予定です。一口に社会起業家といっても、各社取り組んでいる社会課題はさまざまで必要な支援も異なるため、多くの起業家に出会い支援できる方法を一緒に考えてもらえたらと思います。

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次回オンラインサロンのご案内です。

日時:11月29日(火)、17:00~18:30 (後半30分は任意の懇親会)  
ゲストスピーカー:一般社団法人アース・カンパニー 創設者 濱川明日香・知宏氏

自然を破壊し格差を加速させるディジェネラティブな現代の生活システムをリジェネラティブ(再生的)に変える活動を行う。チェンジメーカーの発掘・支援、人材育成プログラムの実施、リジェネラティブなエシカルホテルの運営。濱川明日香:2021 年Newsweek 誌「世界が尊敬する日本人100」に選出。濱川知宏:2014 年ダライ・ラマ14世より「Unsung Heroes of Compassion(謳われることなき英雄)」受賞。

お申し込み方法はこちら

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